国チャレ　第118回

("02年９月10日 出題 / アクセス数 224)

　　次の文章は「枕草子」の「中納言参りたまひて」から抜粋したものである。この文章を読み、あとの問いに答えよ。

　　中納言 (1)参りたまひて、御扇奉らせたまふに、

　　Ａ「隆家 (たかいへ) こそ、いみじき骨は得てはべれ。それを張らせて、参らせむとするに、(2)おぼろけの紙は、え張るまじければ、求めはべるなり。」

と申したまふ。

　　Ｂ「いかやうにかある。」

と問ひ聞こえさせたまへば、

　　Ｃ「すべて、いみじうはべり。『さらにまだ見ぬ、骨のさまなり。』となむ、人々申す。まことに、かばかりのは見えざりつ。」

と、言高くのたまへば、

　　Ｄ「さては、扇のにはあらで、【　(3)　】のななり。」

と聞こゆれば、

　　Ｅ「これは、隆家が言 (こと) にし (4)てむ。」

とて、笑ひたまふ。

　　かやうのことこそは、(5)かたはらいたきことのうちに入れつべけれど、「一つな落としそ」と言へば、いかがはせむ。

＜ 注釈 ＞

• 中納言 ＝ ここでは、藤原隆家を指す。
• 御扇奉らせたまふに ＝ 中宮定子に……
• 骨 ＝ 扇の骨。
• 参らす ＝ 動詞の「参る」に使役の「す」が複合してできた、謙譲の動詞。
• 言高く ＝ 得意そうに言う様子。
• ななり ＝ なるなり　(音便)

(1)　「参りたまひ」は２つの敬語が合わさったものであるが、それぞれ誰に対する敬意を表しているか。その説明文として、適切なものを次から１つ選べ。
　ア．「参り」と「たまひ」は、ともに隆家に対する敬意を表している。
　イ．「参り」と「たまひ」は、ともに定子に対する敬意を表している。
　ウ．「参り」は定子に対する敬意を、「たまひ」は隆家に対する敬意を表している。
　エ．「参り」は隆家に対する敬意を、「たまひ」は定子に対する敬意を表している。

(2)　「おぼろけ」の意味を現代語で記せ。

(3)　【　(3)　】にあてはまる生き物の名前を答えよ。

(4)　助動詞「て」の終止形を記せ。

(5)　「かたはらいたし」の意味を現代語で記せ。

(6)　Ａ〜Ｅ のうち、作者が発した文章は１つである。それを選べ。

(7)　「枕草子」の作者の名前を答えよ。

解答

(1)　ウ　　(2)　普通、平凡、ありふれた　　(3)　海月 (くらげ)　　(4)　つ
(5)　聞き苦しい (見苦しい)、みっともない　　(6)　Ｄ　　(7)　清少納言

成績優秀者

おめでとうございます！　(参加 15名 / ９月17日 確定)

[#117]　[#119]　[Back]　[Home]