Back

算数トライアスロン III
1999 年 12 月 17 日 〜 12 月 31 日


■ 第 11 問 - モーターボート競走

マサルさんとトモエさんが、川の下流 A 地点から上流 B 地点までモーターボートで何往復かする競走をしました。マサルさんが上る速さとトモエさんが下る速さが等しいので、マサルさんの楽勝かと思われましたが、2 台が同時に B 地点を折り返したある瞬間マサルさんのボートがガス欠になり、川の流れに身をまかせるはめになってしまいました。マサルさんは、その後途中でトモエさんに 5 回追い越されながらも、前半のリードがものをいいなんとか同時にゴールイン、めでたく引き分けという結果になったそうです。

さて、この競走で 2 台のボートはそれぞれ水に対してどれだけの距離を走ったのでしょうか。その距離の比を、マサルさんトモエさんの順にもっとも簡単な整数の比で答えてください。

なお、川の流れの速さ、2 台のボートが走る(水に対する)速さは、それぞれ場所や時刻によらず一定とし、また、折り返しのためなどのロスタイムはないものとします。

出題: 中村明海 さん


■ 第 11 問 - 解答・解説

解答: 167:169

解説:

 計算を簡単にするため、A地点からB地点までの距離を1、川の流れの速さを1、
として考えることにします。マサルさんが上る速さとトモエさんが下る速さが等しい
ので、それを□とすると、それぞれの速さと片道の所要時間は表1のようになりま
す。

<表1>
トモエさんの上り:速さ=□−2,片道の所要時間=1/(□−2)
トモエさんの下り:速さ= □ ,片道の所要時間=1/  □
マサルさんの上り:速さ= □ ,片道の所要時間=1/  □
マサルさんの下り:速さ=□+2,片道の所要時間=1/(□+2)
マサルさんの漂流:速さ= 1 ,片道の所要時間=1

(1)ガス欠後の様子から分かること

 途中で5回追い越されたということは、マサルさんが下る間にトモエさんは、7回
下り6回上ったことになります。つまり、7/□+6/(□−2)=1なので、□は
14と決まり、表1は表2のように整理されます。(□の値は、□にいくつか数をあ
てはめてみると簡単に発見できるでしょう。)

<表2>
トモエさんの上り:速さ=12,片道の所要時間=1/12
トモエさんの下り:速さ=14,片道の所要時間=1/14
マサルさんの上り:速さ=14,片道の所要時間=1/14
マサルさんの下り:速さ=16,片道の所要時間=1/16
マサルさんの漂流:速さ= 1,片道の所要時間=1

(2)競走は何往復で行われたのか

 マサルさんはガス欠になったことによって、1−1/16=15/16だけ余計に
時間を費やしてしまいました。もし、ガス欠がなければ、1往復につき1/12−1
/16=1/48ずつ差がつくはずのものが引き分けになってしまったのですから、
競走した往復回数は、(15/16)÷(1/48)=45回とわかります。

(3)水に対する走行距離・・・水に対する速さからのアプローチ

 表2で、トモエさんの水に対する速さは13、マサルさんは15ですから、表2
に、片道あたりの水に対する走行距離を書き加えると、

<表3>
トモエさんの上り:速さ=12,片道の所要時間=1/12,走行距離=13/12
トモエさんの下り:速さ=14,片道の所要時間=1/14,走行距離=13/14
マサルさんの上り:速さ=14,片道の所要時間=1/14,走行距離=15/14
マサルさんの下り:速さ=16,片道の所要時間=1/16,走行距離=15/16
マサルさんの漂流:速さ= 1,片道の所要時間=1   ,走行距離=0

トモエさんの総走行距離は、
(13/12)×45+(13/14)×45=169×15/28
マサルさんの総走行距離は、
(15/14)×45+(15/16)×44=167×15/28

よって、ふたりの総走行距離の比は、167:169となります。 (完)

(3’)水に対する走行距離の別解・・・流された距離からのアプローチ

 水に対する走行距離=大地に対する走行距離+戻された距離−押された距離、と考
えることができます。そして、流された距離(戻された距離と押された距離)は、
・トモエさんの場合
 上っていたのべ時間=(1/12)×45、戻された距離=45/12
 下っていたのべ時間=(1/14)×45、押された距離=45/14
 差し引き、戻された距離は 45/12−45/14=15/28です。
・マサルさんの場合
 トモエさんが下った時間とマサルさんが上った時間が等しいことに注意すると、流
された距離はちょどトモエさんの向きを逆にしたもであることがわかります。

さて、大地に対する総走行距離はふたりとも2×45=90ですから、
ふたりの水に対する総走行距離の比は、
 90−15/28:90+15/28=167:169となります。 (完)

〜正解者掲示板・数楽者さんの解法〜 ガス欠からゴールまでの状況から、トモエさんが水面に対して上った距離と下った距離は 等しくなります。 だから、上りに使った時間と下りに使った時間は同じです。 これから、上りと下りの速さの比は6:7になります。 さらに、トモエさんのボートの速さは、川の流れの13倍とわかります。 ここから攻めていくことも出来ますね。

[ << 前の問題 | 問題一覧 | 次の問題 >> ]

お問い合わせは aki(at)angel.ne.jp までどうぞ。