次の文章を読み、あとの問いに答えよ。
むかし、男、片田舎 (かたゐなか) にすみけり。「【a:宮仕へしに】。」とて、別れ惜しみてゆきにけるままに三年 (みとせ) 来ざりければ、【b:待ちわびたりけるに】、いとねむごろにいひける人に、「今宵あはむ。」とちぎりたりけるに、この男来たりけり。「この戸あけたまへ。」と【c:たたきけれど】、あけで、歌をなむよみていだしたりける。
あらたまの年の三年を待ちわびてただ今宵こそ新枕 (にひまくら) すれ
といひだしたりければ、
あづさ弓ま弓つき弓年を経てわがせしがごとうるはしみせよ
といひて、いなむとしければ、
あづさ弓引けど引かねどむかしより心は君によりにしものを
といひけれど、男かへりにけり。女いとかなしくて、しりにたちておひゆけど、えおひつかで、清水 (しみづ) のある所にふしにけり。そこなりける岩に、およびの血して書きつけける。
あひ思はで離 (か) れぬる人をとどめかねわが身は今ぞ消えはてぬめる
と書きて、そこに【d:いたづらになりにけり】。
< 注釈 >
(1) 【a:宮仕へしに】の後に省略された語句として最も適切なものを、次のア〜エから1つ選べ。
ア.行かむ イ.帰らむ ウ.下らむ エ.来む
(2) 【b:待ちわびたりけるに】【c:たたきけれど】の主語の組み合わせとして適切なものを、次のア〜エから1つ選べ。
ア.b=男、c=男 イ.b=男、c=女
ウ.b=女、c=男 エ.b=女、c=女
(3) 慣用句【d:いたづらになりにけり】を現代語訳せよ。
※ 「無駄になった」という意味もありますが、別の解釈の方が妥当だと思います。
(4) 和歌を交わした二人に関する記述として最も適当なものを、次のア〜エから1つ選べ。
ア.長く待たされた女は他の男の愛を受け入れたが、前の男を忘れられず後を追った。
イ.忘れた頃にやってきた前の男のわがままに女は腹を立て、愛想なく男を追い返した。
ウ.三年前に別れたはずの男が帰ってきたので、今の男と別れ、前の男のもとに走った。
エ.三年間変わらず思い続けた男が会おうとやってきたが、女は真偽のほどがわからず断った。
(5) 上の文章は、「在原業平 (ありわらのなりひら) が主人公とされるある歌物語」の第二四段「あづさ弓」から引用したものである。平安時代に成立したとされる、その物語の題名を答えよ。
(1) ア (2) ウ (3) 死んでしまった (4) ア (5) 伊勢物語
※ (1) 「片田舎に住んでいた。宮仕えをしに (都へ) ……」と考える。
順位 | ハンドル | 素点 | 答案到着時間 |
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1 | のわのわ さん | 100+ | 6/ 25, 23:15.50 |
2 | 小杉原 啓 さん | 100+ | 6/ 25, 23:16.48 |
3 | 溝部 光洋 さん | 100+ | 6/ 25, 23:17.01 |
4 | 辻。 さん | 100+ | 6/ 25, 23:19.01 |
5 | LION さん | 100+ | 6/ 25, 23:19.37 |
6 | ひでゆきボン さん | 100+ | 6/ 25, 23:24 |
7 | TAMA さん | 100+ | 6/ 25, 23:30 |
8 | とらいしくる さん | 100+ | 6/ 25, 23:58 |
9 | Take さん | 100- | 6/ 26, 00:00.07 |
10 | 圭太 さん | 100- | 6/ 26, 00:08 |
11 | CRYING DOLPHIN さん | 100+ | 6/ 26, 01:11 |
12 | tomh さん | 100+ | 6/ 26, 18:29 |
13 | BossF さん | 100+ | 6/ 26, 20:17 |
14 | ヒノ茶 さん | 100- | 7/ 1, 00:00 |
おめでとうございます! (参加 14名 / 7月2日 確定)